建築雑誌の中に住宅月刊雑誌というものがある。日本では住宅特集(新建築社)、住宅建築(建築思潮研究所)が多くの建築家、特に住宅を専門にしている建築家、そして建築家を目指す社会人(設計者)、建築学部の学生、教授たちに良く知られている。
僕たち住宅を主に設計している建築家にとってはとても勉強になる雑誌であり、時代の教科書のような書物である。文学でいえば「文学会」や「文芸春愁」「本の雑誌」などと同じで一般の人も買い求めることができる書物である。街のすこし大きな書店では年12冊、毎月発売されている。私はその書物を約40年間買い続けている。
なぜそれを求めるのかといえば、新しく建築された家が写真と共に掲載されているだけではなくさまざまな住宅についての考え方や時代の中で住宅はどうあるべきか。そしてどう建てるべきか。など住宅学が記述されている。住宅における大学院の学びのようなものである。
時代の中で住まいの問題は重要で人々の暮らしに直接影響を与え、設計によって、やもすると、人生そのものが大きく激変してしまうことになると僕は思っている。そのようなことが設計図の中に吹き込める優れた設計者になるために、技術の習得、考え方のさまざまの条件下での考慮と対応、そしてすぐれた空間や家具、照明、そして庭づくりへの圧倒的センスの獲得などを学べる雑誌である。他の優れた建築家の作品を見て、その解説を読み誌面で自分への栄養剤とし情報の吸収を行い、さらに設計を上手になることに精進することの背中を押してくれる雑誌である。
住宅建築雑誌を軽く見ることなかれ。この時代の中での住宅設計へのエキスが満載されているのだと僕は思っているので学び続ける。
(川口 通正/川口通正建築研究所)
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