私の家で犬を飼うことになって / 坂東 順子
- iezukurisite
- 4月17日
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更新日:4月18日
新築から20年、私の家に最も大きな変化をもたらしたのは、築5年目に近隣で生まれたダルメシアンの雄(ラッキー)を飼い始めたことだった。
生後3ヶ月でやってきたラッキーは、リビングを走り廻り、テーブルの脚をかじり、フローリングの床に小便のみならず大便までももらして、否応なしに家を傷めた。そこで成犬になるまでは、囲いをリビングに設置した。

成長後に囲いを撤去すると、ラッキーはリビングを自由に歩き廻り、日当たりの良い窓際を定席にして、一日の大半を心地よく過ごした。その姿はいつも私たち家族の心を癒した。
新築時のプランで私が最もこだわったことは、1階のリビングを2階の個室に立体的にラフにつなぎ、それによって家族の心地よい空間をつくることだった。必要以上に細かくつくり込まず、空間の可変性を重視した。犬を飼うということは設計時には想定外であったが、この開放的なプランは中型犬の存在も自然に受け入れ、家族全員が快適に共生することを可能にした。

ところで、最初から犬と暮らす前提で設計しておればよかったのにと感じた点がいくつかある。まず、一般的なフローリングは、滑りやすいことで犬の足腰に負担がかかる上、粗相の掃除も大変である。ただしこれらは、タイルカーペットなどの上敷や特殊なワックス処理で対処可能だ。より配慮があればと感じたのは、散歩などの犬の出入り動線や足洗いの設備、屋内の犬のトイレの設置についてである。
私の家では、ラッキーの散歩の際に駐車場の給水栓からホースを引き、アトリエの軒下で脚を洗うことでなんとか対応した。また、成犬になったラッキーは屋外だけで排泄したが、老犬になって頻繁に排泄するようになり、屋内にトイレを設置しておけば犬も飼い主も楽だったろうと感じた。
実際に別の設計では、浴室と半屋外空間(コート)を直結させて計画した。

これは子供の外遊び後の動線として考えたものだが、犬の出入りにも極めて有効である。
玄関やその他の出入り口に水場と半戸外空間を連結させておくと、ペット飼育や庭仕事などにも対応できて汎用性が高い。これから家を建てる方は、ぜひ参考にしていただきたい。
( 坂東 順子/ J環境計画 )
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