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オープンハウス訪問。1/島村 香子

BUILTLOGICの石黒さん設計の「鶴見の家」を訪問しました。

周辺は横浜らしい起伏に富んだ地形をしており、敷地は路地の奥にひっそりとあります。

(実際には敷地の反対側でもうひとつの道路に面していました。)

四方を家々に囲まれたその敷地は、広さはあるけれども設計の拠り所となるものが無いような、そんな印象を受けました。

ゆったりとしたアプローチのステップを上り玄関に入ると奥行きのある土間があり、その先には明るいデッキが広がります。土間が実際の面積以上に広く感じるのは、デッキが視線を呼び寄せてくれるからなんですね。

リビングには大きな吹抜があり、やさしい光が降り注ぎます。


キッチンは奥にパントリーを配し、ダイニングやリビングと回遊できるようになっていて、とても使いやすそうに設計されています。

スケルトンの鉄骨階段もきちんとデザインされていて、この家のチャームポイントとなっています。

そしてなんといってもこの家の特徴は、リビングの上方を横断するブリッジです。

ブリッジの上に立つとこの家全体を見渡すことができ、緩やかに繋がるワンルームのような家であることがわかります。

ブリッジの両側の連続窓の向こうには家々が建ち並ぶものの、その隙間を気持ちよく視線が抜けていきます。


気づくと、この家には窓がとても多く、それぞれの窓から視線が抜けていきます。

お隣との距離感も心地よい。

ここで図面を改めて確認してみました。

玄関土間から見えたリビング前のデッキは北側にあります。

敷地はやや不整形で周囲には家が立ち並び隣地や道路とのレベル差は大きい。よくよく配置図を見ると敷地のほぼ中央に建物が建っていて四隅が空いています。そこが中間領域や隣地との緩衝地帯になっていることにより、家の中から外に広がっていくような伸びやかさを生んでいるように思います。


そして猫ちゃんの扉がオリジナルでデザインされていたり、鉄骨階段の角が優しいアール形状になっていたり、子供部屋からリビングを見下ろす窓に障子がはめられていたりと、細やかにデザインされていています。


今回訪れた「鶴見の家」は、設計した石黒さんの繊細さとおおらかさ、一見すると大胆な配置の妙、そしてそれを受け止めるクライアントの懐の深さが見事に調和しているようでした。

この家で子供たちが駆け回り、家族みんなで笑い合う、そんな情景が思い浮かびました。

島村香子/島村香子建築設計室 )

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