国宝茶室 有楽苑如庵 / 清水 加陽子
- iezukurisite
- 2 日前
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更新日:24 分前
7月半ば、有楽苑如庵を見学してきました。公開日は月に一度と限られていますが、平日の朝の時間帯ということもあってか、すんなりと申し込む事が出来ました。

如庵の見学の前に、有楽苑の敷地内の庭園を散策し、苑内で催される茶会のために新築された茶席、弘庵で、お茶をいただきました。

内部の撮影は禁止ですが、手元はOKだったので、お茶碗とお菓子の写真です。器には如庵の文字があり、モミジが描かれていました。床の間に飾られていた茶掛(茶室の掛軸)は、持ち主である名古屋鉄道の社長の書だそうで、かなりの文化人とのことでした。

犬山へ移築された際、大掛かりな修理が必要でしたが、部分的に腐った支柱など、傷んだ構造部分は合成樹脂で補強し、木のような質感を出すために塗装されています。そう言われてよく見ないと、ぱっと見ためにはそれが樹脂だとはわからない程精巧で、丁寧に修復されたことが分かりました。
有楽苑の敷地内の日本庭園は多くの部分が青々とした芝生でおおわれており、明るくゆったりとした雰囲気となっていました。如庵に近づくと、書籍や雑誌でおなじみの丸窓のある斜めから見た茶室の姿が目に飛び込んできました。丸窓は正面から見るとやや楕円形になっており、客がアプローチする斜め45度から見ると真円に見えるそうですが、自分の目にはその微妙な違いがよくわからず、どちらもまんまるに見えてしまいました・・・。如庵内部は撮影禁止のため、自分が撮影したのは、外観のみになります。

有楽斎は比較的明るい茶室を好んだと言われています。
外部に面する窓が五つと突き上げ窓、手前座前の開口と、躙り口前の丸窓を合わせると8つもの開口部があります。このうちの二つの窓は細い竹がつめ打ちされているので、明るさを得るための窓ではありませんが、「有楽窓」別名「虹窓」と呼ばれるように、光の当たり加減によって、モノトーンの陰ではなく、黄色みを帯びたり、青みを帯びたような影が障子に映っているように見えました。七色の影が見えるので虹窓なんですと案内の方はおっしゃっていましたが、これも自分の目には赤みのある影は見えずで・・・もっと敏感な視界があればいいのに、と思いました。
如庵の内部が、とても二畳半台目とは思えないほど広く感じたのは、窓の種類と配置のバリエーションの豊かさから来るものが大きいのではと、感じました。風炉先の板壁も、普通に考えれば狭い空間をさらに仕切るので邪魔になるはずなのに、そこに開けられた開口部のせいか、より広がりを感じさせる助けになっている様でした。
初めての見学でしたが、季節を変えて、何度も訪れたい場所の一つになりました。
(清水 加陽子/一級建築士事務所 DROP DESIGN )
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