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【座談会】家づくりの会の魅力

更新日:2022年9月1日

家づくりの会の魅力を根來宏典・田中ナオミ・泉幸甫の3者でとことん語りあってみました。



こんなふうに、いろんな建築家と 気軽に話ができる仕組みって他にないんじゃない?


根來:この家づくりの会の特長は、建築家が自らの意志で集まってできた、建築家たちだけの会というところですよね。そこにこの会のよさがあると思うのですが、今日は会の設立者のひとりである泉さんがいらっしゃるので、お聞きしたいのですが、そもそもこの会はどうやってできたのですか?

泉:家づくりの会の設立は1983年になるのですが、当時は今と違って住宅建築で独立してやっていくのは、駆け出しの建築家にとっては、非常に大変な時代でして、そこで有志が集まってできたのがこの会で、まあ、いってしまえば最初は仕事を受注するためにつくった会なんです。あのころは今のような施主(=建て主)さんと建築家の出会いをサポートするマッチングサービスみたいなものはなかったので、その走りだったということになりますね。

根來:ただ、今あるたくさんのマッチングサービスとは大きく違いますよね。

泉:そう、受注が目的でできた会ではあったけれど、同時に、みんな、いい家を建てたいという強い思いがあったと思うんです。だから仕事にありつければいいとはならない。たとえば5,000万円予算をかけて家をつくりたいという施主さんのご要望があったとしますよね。でも、よくよく話を聞いてみると、そんなにかけなくてもできるんじゃないか。そのぶん浮いた予算をインテリアやその他のものに回したほうが豊かな暮らしができるのではないかと。そういうことを施主さんに申し上げることもある。これは建築家の家づくりに対する理念の問題なんですね。予算があるからといってそれを全部使ってしまうのではなく、結果的に設計料は減ることになってでも、いい家をつくるほうを選択する。そこには、その建築家にとってのいい家とはなにかという理念があるからこそ、そういう判断ができるわけです。


根來:そういうふうに利益追求型のビジネスみたいにならないところが、純粋に建築家だけが集まっているからこそというわけですね。たしかにビジネス的なマッチングだと予算ありきでいきそうですね。

田中:家づくりの会の場合は、建築家同志が情報交換したり刺激を受けあったりという、建築家のネットワークとしての部分もあって、参加している建築家にとっては、それが魅力でもありますね。

根來:そう、建築家同士が刺激を受けて、相互研鑽を積んで、自らの成長する場に変わって行ったところもありますね。そうやってみんなが設計力を高めて、また信頼できる工務店さんや職人さんを紹介しあってきたりして、それが会のレベルを底上げしてきた。こういうところは38年続いてきた老舗の会だからこそのことだと思います。


泉:また、ここにいると自分の立ち位置がわかってきますね。みんながやっていることを見ながら、じゃあ、自分はなにをしていくべきかということが見えてくる。先輩とかまわりを見て学べるし、また、質の高い工務店さんや職人さんとのつながりも、紹介しあったりするなどして共有しています。いろんな年代の建築家たちが世代を超えて刺激し合い、共存しながら、家づくりのレベルを上げていけるというところもあります。

根來:そんな家づくりの会は施主さんにとってはどんなところが魅力になるのでしょうか。

泉:まあ、まず、今話したようなことが参加している建築家の意識の高さにもつながっていて、変な建築家がいないっていうところがありますね。そういう建築家が45人もいるわけだから、施主さんは安心して自分にあった建築家が選べるんじゃないでしょうか。


田中:そうそう、ここにくれば毎日交代で家づくりの会の建築家が13時から18時までいるわけで、自由に話ができる。そういうところって他にはないですよね。施主さんだって、いきなり見ず知らずの設計事務所へいくよりも、ここで何人かの建築家と話をしてみたり建築事例の写真を見せてもらったりして、自分と相性が合いそうだな思える人と出会って、それから改めて事務所にいくといったふうな、ゆるやかな前段階がとれるから、建築家の比較検討をあせらずマイペースでできるし、そういうのって気持ち的にも安心ですよね。

根來:たしかにそういうところは他にないですね。ここにくれば毎日誰かしらいる。気軽に会いにいける。マッチングビジネスみたいに何人かの建築家が紹介されてというパターンじゃなくて、自分が直感的にいいなと思う人に気軽に会えて、コーディネーターとかも介さず、なんていうかビジネス的な雰囲気ではないところで、まったく自由に話ができるわけですからね。気軽さと自由さが違うかもしれない。


泉:建築家と施主さんとの相性みたいなものもありますからね。これはさっき話した建築家の理念と関係してくることですが、施主さんのご要望をなんでも聞いてくれる建築家がいいわけではないんですよね。いい家を設計するために建築家は実にたくさんのことを決断していかなければならない。で、そのひとつひとつは複雑に絡みあっていて、施主さんの言う通りに作ると全体としてはちぐはぐな、変なものになることがある。ときには施主さんのご要望とは違うほうが結果的にはいいことがあります。そんな時は施主さんの要望を整理しなおしてあげることも建築家の重要な役割です。


田中:それはある意味、施主さんの方でも一歩踏み出す必要もあるということですよね。


泉:そう、だから、そこがわかりあえなくて、ときには施主さんと ぶつかる場合 もあるかもしれない。これは建築家のひとりよがりとかではなくて、これまで経験したことや学んだことと関係していて、やっぱり理念の問題なんです。だから、この家づくりの会のように、まずはビジネス的な雰囲気じゃないところで、いろんな建築家に自分の意志で自由に選んで会えて、何人もの建築家と気軽に話ができるということは、施主さんにとっても、いろんなタイプの建築家がいるんだなぁって知る機会にもなりますから。


根來:家づくりギャラリーに来れば毎日違う建築家がいて自由に相談ができるというところは、他にはない、この会のいいところなのだけど意外と知られていない気もします。もっと積極的にアピールしなければいけませんね(笑)。



建築家は「施主力」を引き出す人かもしれない!?


田中:建築家には第三者としての役割もありますよね。家は確かに個人の持ち物であるけれど、それは街の景観にもなっていくわけだから、ある意味、社会の資産でもあるから、そういうところも考えていく必要もあるし、施主さんの要望を全部叶えることが必ずしもいい家につながることではないですからね。「あなたはこういう人だから、こういう家がいいと思いますよ」と、客観的な第三者の立場に立ってサジェスチョンするのも建築家の役割。逆にいえば施主さんは建築家を通して自分を客観的にわかるようなところもあるわけですね。


根來:さっき泉さんが「いい家は個人をいきいきとさせる」っておっしゃってましたが、「建築家を通して自分を客観的にわかる」というのもそれに通じることですよね。

田中:そうそう、つまり、あれをああしたいと、これをこうしたいといったような、思ったことだけで創造したのでは小さな世界にしかならない。だからそれを汲みとって、より豊かなものにしていくのが建築家の役割だと思うんです。


根來:施主さんもいろんな人がいて、いってみれば同じ家族というのは存在しない。だからぼくらも毎回、目の前に違う課題があって、ゼロから家をつくっていくわけで、それはぼくらにとっても楽しいことです。


田中:なんていうか「施主力」みたいなものがあると思いますね。われわれ建築家はその「施主力」をどれだけ引き出せるか?それによって、いい家ができていくみたいな。だから家って、思えばそういうところから湧き出てくるようなものでもありますね。

泉:そう考えるとわれわれ建築家とクライアントの関係っておもしろいよね。たとえば医者と患者の関係って身体の悪いところを探っていくところからはじまるわけでしょ?つまりネガティブな問題点を解決していく関係。でも、建築家と施主さんの関係は、施主さんがどんな暮らしをしていきたいのか?もっといってしまえば、どういうふうに生きていきたいのか?というポジティブなことを一緒に探っていって、家というカタチにしていく。そういう関係を 作れたら素晴らしい住まいになるし、そこがやっぱりこの仕事の魅力でもありますね。


田中:「あなたはどう生きていきたいですか?」なんて普通は聞かれないですからね(笑)。


根來:建築家だっていろんなタイプがいますから、それぞれ答えは違う。だから、これから家を建てようと思っている方は、ぜひここに来て、どの建築家が自分の施主力を引き出してくれそうかと、いろんな建築家と話をしてみて、比べてみてもいいかもしれないですね。


田中:ぜひぜひ、お気軽に私たちに会いにきてくださいね。

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