自然を感じる空間づくり
私は富士山の麓に広がる町で生まれ育ちました。都会の忙しい人々がわざわざ癒やしを求めて訪れるその風景は、私にとって子どもの頃から当たり前のように身近な存在でした。この環境で育った影響か、現在は東京で設計事務所を構える中でも、自然豊かな環境での設計依頼をいただく機会が多くあります。
雄大な景色を一望できる場所、美しい木々に囲まれた静かな森の中 ―― 設計を始める時には「この場所にどんな建物がふさわしいだろうか?」と考えます。設計において一貫して心がけているのは、その場所の魅力を引き出し、暮らしの中で自然が感じられる空間をつくることです。
例えば、窓を通して自然を切り取り、まるで絵画のように四季折々の景色を室内に取り込むこと。
また、木漏れ日が降り注ぐ森の中で食事をするような体験を味わえる空間をつくること。
あるいは、建物そのものが自然の一部として溶け込み、外と内の境界が曖昧になることで、日常の中に新たな発見をもたらすこと。
私がデザインする建物には、暮らしが建物の中だけで完結せず、外との繋がりから得られる喜びを感じてもらえるような工夫を随所に凝らしています。
自然に寄り添い、その魅力を活かした建築が、私たちの暮らしをより豊かにしてくれると信じています。皆さんも、自分の暮らしの中に自然を感じられる場所を見つけてみませんか?
都会でも小さな坪庭でもそこに植えた植物の成長が感じられたり、高窓を設けて空にたなびく雲をのんびり眺められる様にしたり。
自然を感じる空間を暮らしの中に取り入れることで、日々の忙しさの中にも心が安らぐひとときを見つけることができます。大きな庭や広い土地がなくても、目の前の窓辺に花を一鉢飾ることから始めてみませんか?自然との繋がりが、きっと日常に小さな喜びと癒やしをもたらしてくれるはずです。そんな豊かさを、皆さんもぜひ暮らしに取り入れてみてください。
(萱沼 宏記/株式会社プラスデザイン)
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