リノベノススメ 〜木造住宅について〜
樹種にもよりますが、木が柱に成長するまでに80年と言われています。 どれだけの住宅が80年以上使われているでしょうか?
欧米では築100年以上の住宅が多いです。

世の中には固定資産税が30年で新築時の28%までさがるといいますが、価値が目減りしているのでしょうか? 設備は古くなり交換しなくてはならないものはありますし、家族構成の変化で改修の必要はあるかもしれませんが、メンテナンスしている限り、ちゃんと建てられた家の価値は減ることはありません。
減るどころか、馴染んで、素敵な家になっていることでしょう。
物理的にも建設費や材料の高騰なども考慮すれば、同じ金額で30年前と同じ仕様で建てることは難しくなっています。
メンテナンスをサボって建物が劣化しているとか、法律が変わって、既存不適格になったとか、そういうことで低下することはあるかもしれません。
相続により、解体されるというケースが多くあります。
不動産屋さんから、上物(建物)があると売れない、という不動産業界の都市伝説も理由の一つかもしれません。既存建物の評価をうまくしてくれたら、と思います。 良い家が解体される前に、担い手を探して見学会が行われることがあり、伺うことがあります。素晴らしい技術や材料を費やして作られており、そういう家の担い手が見つからないで、解体されるのは残念でなりません。(宝くじでもあたればなぁ、、、といつも思います。) 昨今はクラウドファンディングでお金を集め建物を利活用する後押しができるような仕組が定着しており、良い流れだと思います。

ごく普通の住宅であっても、丁寧に大工の技術で作られたような家は多く。空き家になっていて、メンテナンスをしていなくて、一見ボロ家でも、実際に床の傾斜を測ってみたると、実は傾斜していないという物件に遭遇することもあります。
木造の建物は腐った部材をいれかえたり、基礎や壁を補強して強くしたりすることが比較的容易にできます。
鉄骨や鉄筋コンクリート造よりも比較的費用が抑えられて、着手しやすいのではないでしょうか?
断熱性能が悪い家や地盤の補強などが必要となれば、新築ほど完璧に施工するのは難しいこともありますが、かなりのレベルまで引き上げることはできます。
リノベーションの場合、思いがけなく費用がかからないように、きちんと調査を行ってください。そして、調査しても見つけられないこともありますので、少し予備費用を見ておいてください。
大事に住まれてきた家が、他のまた誰かに大事に住んでもらえますように。
(伊澤 淳子/一級建築士事務所伊澤計画)
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