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傾斜地の家2
街並みを彩るテラスの庭を持つ住まい
「傾斜地の家2」は横浜市の郊外にあり、田園風景があちらこちらにまだ残るエリアにある。
建替え当時築三十五年を超えた建物は、高さ約4メートルの擁壁の上に建ち、急なアプローチ階段を昇りたどり着く。擁壁は周囲に威圧感を与えるようにそびえ立ち、たくさんの問題を孕んでいた。
そこで終の棲家としてこの地に安心して住み続けられるよう、あらゆる可能性を探った末に、擁壁ごと解体して全面的に建て直すことになった。
この建物は、擁壁を解体した上で鉄筋コンクリート造の地下室を造り擁壁の代わりとしている。威圧感のある擁壁のあった場所には、小さな前庭を設け、道路側のコンクリートのテラスの上には土を戻し、道路側に緑が迫り出すように植栽した。道行く人が、少しでも気持ちよく四季を感じられる街並みにしたいと考えた。
居間兼食堂に上がって見返すと、遠くまで景色が見える。広くはない空間だが狭く感じないのは、遠くへ視界が広がる開口部の工夫と、階段室や上階と視覚的に繋がっているから。
又、この住まいはたくさんの居場所を見つけられるよう工夫している。例えば月見台(物干しスペース)への出入り口となる階段の踊り場は、あえて広めに造り、洗濯が大好きな祖母が寛ぎながら洗濯物を畳んだり仕分けたりしている。居間と空気がつながるワークスペースは、母子が肩を並べて勉強したり作業したりしている。時にはテラスの庭に椅子を出して、隣人とお茶を飲みながら談笑する。雨降りの時には居間の窓際に座って外を眺める。
傾斜地の特性を最大限に活かして、いつもどんな時でも自然や四季を感じながら、家族それぞれの程よい距離感で暮らせる住まいになった。
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