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建築家な私1/石黒隆康

更新日:2022年9月9日

「建築家の役割」


家づくりの会のホームページが新しくなり、ブログの形式もこれまでと違った雰囲気になります。

これまではエキサイトのブログでしたが、今後は家づくりの会のHPの中でブログも展開していきます。

毎回テーマを設定し、なるべく読み応えのある記事を会員の建築家が書いてくれると思います。


わたくし、石黒隆康と申します。現在代表理事をしております。


家づくりの会は、来年40周年を迎えます。

1983年当時、30代前半の若い建築家が自主運営で作り上げた団体で、2003年にはNPO法人の認証を受けています。

これまで700軒を超える家づくりのお手伝いをしてきました。現在は43名の建築家が運営と活動を行っています。

70代以上のベテラン建築家から、40代の以下の可能性を秘めた若手建築家まで、幅広い個性が日々切磋琢磨し、設計に取り組んでいます。


ところで今回、私に与えられたブログのお題は「建築家の私」で、家づくりの想いや、自分が大事にしていることを記事にして下さい、

と言われています。なので、その辺のことを少し書いておきたいと思います。


先日、13年前に竣工した家にお招き頂き、お邪魔して来ました。

竣工後、その建主さんとは、割と定期的に連絡を取り合っていたの生活の様子は多少知っていたハズですが、今回は6年振りのお宅訪問で、久々に「建主力」を見せつけられました。

竣工当時と暮らし始め、そして現在の様子を撮った写真をご覧下さい。



竣工当時、植栽は全くなく、お隣の桜の木が印象的でした。

翌年には自分達で樹木を植え、デッキに緑のカーテンまで出来上がってました。

そして、最近では植木で建物が見えなくなってしまうほどに成長して、背景の雑木林とつながってしまったような雰囲気もあります。


家は住まい手次第でどうにでもなってしまうんだな、、、建築家である我々は「背景を作る」もしくは「舞台を作る」のが大きな仕事で、そこで暮らす住まい手が家を育て、家と共に成長して行く、と改めて感じました。

だからこそ、スタート地点である「背景」は、キッチリと、愛着が持てるものに仕上げて住まい手に渡さないといけない、なんて思ったのです。

そもそも、私が設計する住宅のコンセプトは「倉庫のような家」「倉庫芸術(?)」に興味があり、あまり余計なことをしない、単純な形態、素朴な佇まいを目指しています。それはもしかすると、自然と「暮らしの背景」になる要素をもっているのかもしれない、なんて勝手に考えています。

最近は耐震性能や断熱性能など、数値化する事が避けて通れない時代になっており、そこをセールスポイントとした家づくりが、多くを占めているように見受けられます。建築家としては最低限その部分は担保しつつ、その先の暮らしやすさや愛着など、数値化出来ない部分に目を向けて設計に取り組みたいな、と思うのです。


最後に、先ほどご紹介した家の、室内写真も掲載しておきます。

「モノで溢れても居心地良く暮らせる家が良い」と設計当初にリクエストを頂き、色々と考えて作り上げました。

なんとなく、それが実現されているような気がしますが、いかがでしょうか?

(BUILTLOGIC・石黒隆康)


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